絵画の修復技術

絵画修復の基礎知識

  • 絵の表面についているシミやホコリ、手垢、ヤニなどの汚れや、カビ、あるいは作者以外の手による加筆や悪戯描きなどを落とす。
  • キャンバスや紙の破れやシワを復元する。弱っている際には、裏から布や紙を張って補強することもある。
  • 必要に応じて、キャンバスの張られている木枠や桟の損傷を直したり、取り替えたりする。虫がわいている場合は除去する。
  • 油絵では、絵の具層に入ってしまった亀裂や剥落を留め、現状より損傷が進まないようにする。
  • ニスが茶色く変色した作品は、現在の技術では全部落とすことができるが、作品が新品のようになってイメージが変わってしまう。

    絵画解析の基礎知識

  • 後で加筆されたものなどを調べるのが絵画の「調査」である。
  • 「調査」に用いるのはX線、紫外線、赤外線などの光である。
  • X線:絵の具層、キャンバス、木枠の構造を調べる。全てを透過する性質をもつ。
  • 紫外線:作品に後から手が加えられているのか調べる。絵の表層を透過する性質をもつ。
  • 赤外線:下書きやデッサンが残っているのか調べる。光の波長が長いので、紫外線より透過度が高い。
  • 油彩はその盛り上がり具合で、作者の力の入れているところや、デッサンの順番がわかる。
  • 薬品テストで具材の成分がわからない場合は、ガスクロマトグラフィーという溶剤分析法を使う。
  • 絵画修復の珍しい事例

  • 絵画にカビがはえた場合、密閉された空間で臭化メチルと酸化エチレンを交合させたガスでカビを殺す、薫蒸滅菌法が用いられる。
  • フランスでは、絵を補強する「裏打ち」の接着剤に、表の絵への影響の少ない(浸透性の低い)膠や澱粉糊を使うが、湿気の多い日本ではカビが生えやすいため、布を剥がして裏打ちをやり直すことがある。しかしルオーの作品のように、裏打ちに娘の印がおされている作品などは修復が困難であるため、修復家を泣かせるそうだ。

  • 古い洋紙が酸化すると極めて脆くなるので、アルカリ性の溶液に作品をつけて脱酸処理をして中性にする。

    修復不可能の絵画

  • ゴッホや林武のように、具層の厚い作風の油絵は、直射日光があたるとドロドロに溶けてしまう。
  • 絵画の修復過程にみる奇跡

  • 中村不折の「西洋婦人像」に赤外線をかけると、婦人の緑のドレスが透けて、なかから裸婦があらわれた。
  • 荻須高徳の「フランスの街角」の裏面の白い部分を削ると、塗りつぶされていた絵がでてきた。
  • 幻の絵といわれた、岡本太郎の1952年の作品「歩く人」は、後年の1970年代に描かれた「歩く人」によって塗りつぶされていた。
  • 贋作について

  • 中村不折の「西洋婦人像」に赤外線をかけると、婦人の緑のドレスが透けて、なかから裸婦があらわれた。
  • 荻須高徳の「フランスの街角」の裏面の白い部分を削ると、塗りつぶされていた絵がでてきた。
  • 幻の絵といわれた、岡本太郎の1952年の作品「歩く人」は、後年の1970年代に描かれた「歩く人」によって塗りつぶされていた。
  • 金儲けに利用される絵画

  • 一枚のキャンバスに複数のアングルで人物が描かれたルノワールの作品が、切り売りされていた。
  • ルノワールの極めて秀逸な贋作で、これは本物であるといわれていた絵が、キャンバスや木枠、釘が日本製だったことがある。
  • 1867年に開かれたパリ万国博覧会で、日本からパリに大量の陶磁器がヨーロッパに送られたが、その包み紙が浮世絵だった。
  • 参考文献:修復家だけが知る絵画の真実